みなさん、こんにちは!組織開発ロールの山下です。
今回は、前回の記事の最後に紹介した「学習する組織」について、実際に研修で行ったことを紹介していきます。
改めて「学習する組織」とは
「学習する組織」とは
”複雑化する経営環境に適応するために 恒常的に学習し、進化し続ける組織”
出典:ピーター・M・センゲ著、枝廣淳子・小田理一郎・中小路佳代子訳 (2011)『学習する組織――システム思考で未来を創造する』英治出版
のことを指します。
「学習する組織」の3つの柱
では、実際には何を学習していくのでしょうか。チームの学習能力を支えるのは、以下の3本柱です。
- 志を育成し自らを動かす力
- 共創的に対話する力
- 複雑性を理解する力
画像出典:チェンジ・エージェントWebサイト
ACEでも、ここに掲げられている3つの柱と5つのディシプリン(実践すべき理論)に沿って、研修を実施しました。ACEで実践したいくつかの試みを紹介します。
「関係の質」を改善し、「チーム」としての力を高める
「成功の循環モデル」 MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・キム氏
疲弊状態にあった当時のACE。まず取り組んだのは、「結果の質」やそれに直結する「行動の質」に着目するのではなく、見落とされがちなチームの「関係の質」を改善することでした。
スタッフの一人ひとりの「ありたい姿」から、組織の「共有ビジョン」をつくる
2014年10月~2015年4月にかけて実施した研修の冒頭、研修のゴールとして以下が示されました。
”「関係の質」を改善し、「チーム」としての力を高めよう。
スタッフひとりひとりの「ありたい姿」から、組織としての「共有ビジョン」をみつけよう。”
関係の質を向上させるための共通言語として、当時のスタッフ全員で学んだのはNVC(非暴力/共感的コミュニケーション)という対話の手法です。
”NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)とは、1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、自分の内と外に平和をつくるプロセスです。
(中略)
具体的には、観察(Observation)、感情(Feeling)、ニーズ(Need)、リクエスト(Request) の4要素に注目しながら、自身の内なる対話や、相手の言葉の奥の意図の推測、相手との対話を行います。”
出典:NVCジャパン Webサイト
http://nvc-japan.net/nvc/
この学びを通じて、自分が感じている感情はその奥にある「願い(ニーズ)」からのメッセージであること、そして相手の行動の背景にもニーズがあり、行動レベルでは一見理解できない誰かのふるまいも全てニーズを満たそうとする試みであることを知りました。
ニーズのレベルでは誰もがつながる(共感する)ことができるという可能性を知った時、自己理解と自己受容、そして他者への理解が深まり、ほころびかけていたチームにもう一度火が灯ったように思います。
研修のしめくくりに、一人ひとりの「ありたい姿」を以下の形式で作成しました。
私は【ニーズ①】と【ニーズ②】を大切にする〇〇です △△することにYES! □□することにNO! |
ちなみに、当時の私の宣言文はこちら!
私は、自由と(自分に)本物であることを愛する太陽です。 自分を表現し続けることにYes! 思考停止にNo! |
宣言に加えて行ったのは、疑似的に示した「腹くくり線」を実際にジャンプして超えること。当時は、実際に線を越えることの意味が分かるような分からないような・・・という感覚でしたが、実際に腹くくり線を越える体験をしたことは、その後、私がこの宣言を実践する上での土台となった気がしています。
一人ひとりの「ありたい姿」を一枚の絵に描いたものが、こちら。
これらのプロセスを経て紡ぎ出した当時のACEの「ありたい姿(共有ビジョン)」。本稿の最後に、その一部をご紹介します。
社会に対して: ・子どもの搾取をなくし、子どもの権利を守ることが目的 ・世界を良くしたいと願う人が集いつながる場 働く場として: 一人ひとりが「ありたい自分」を生き、多様性を認め合い、「イキイキ」と「信頼」と「愛」がある組織。 |
今のACEはどれだけ、この姿に近づけているでしょうか?あなたはどう思われますか?